2007年8月夏山合宿
錫杖岳ロッククライミング

前衛フェース左方カンテ

GPS軌跡データ(記録:細川)



新穂高温泉〜中尾温泉登山口〜錫杖岳〜笠ヶ岳断面図

平成19年8月夏山合宿登攀記録(担当:藤田優)
山域 北アルプス錫杖岳〜笠ヶ岳
日時 8月11日(土)〜16日(木)晴れ
参加者 藤田優(CL・装備)、細川功(会計・記録)、原田俊行(食料)
  
目的 錫杖・前衛フェース左方カンテクライミング〜笠ヶ岳登山

行程記録

811 8:00 小月ホンダ出発、快晴
       22:40大町ダム到着

 今回の合宿は「裏銀座縦走隊」5名と「錫杖岳クライミング隊」3名がそれぞれの目的を持っての登行で、最終日に笠ヶ岳で合流することにした。登山口までは2台の車で一緒に行動する。初日に「裏銀座隊」と七倉登山口で別れ、我々「錫杖クライミング隊」は登山口の新穂高温泉へ車を回送する。

裏銀座縦走隊と錫杖岳クライミング隊が一緒に大町ダム下の公園でテント泊。明日の出発が早いので早々にシュラフに入る。
812 4:35 大町ダム出発、快晴

4:40 七倉ダム着→4:50 七倉ダム出発→7:40 中尾温泉→

8:00 新穂高ロープウェー駐車場出発

12:05 クリヤの岩小屋着

 大町ダムから更に上流の自家用車乗り入れ最終点の七倉ダムに「裏銀座隊」の5名を降ろし、我々は新穂高温泉へ向かう。当初、中尾温泉の橋を渡った直ぐ傍にある無料駐車場に車を止める予定であったが、生憎、満車のため更に上流の新穂高ロープウェーの駐車場に2台を止めることにする。料金は一日当たり\500である。中尾温泉の駐車場は、その半分にヘリポートが新設され狭くなっている。装備をパッキングし、中尾温泉へ下り、今日の予定の「クリヤの岩小屋」へ向かう。蒲田川の右岸、槍見林道を登ると直ぐに槍見温泉荘が在り、この左手のクリヤ谷への登山道に入る。ブナの林の中を暫く進むとやがて、錫杖の岸壁の上部が覗かれ、更に進むに従って、錫杖沢との出合い点に到着、全貌が現れてくる。この辺りまでくるとクリヤの岩小屋は直ぐである。岩小屋には既に3張りのテントが張られて、我々の入る余地はない。近くにも適当な場所がないので、20m程下った河原の縁を整地し、テントサイトを建設した。約1時間のアルバイトになった。テント設営後、ソーメンで遅い昼食を摂る。休憩し、5時頃から夕食の準備を行う。今日の夕食は豚肉ステーキと味噌汁で満腹する。


錫杖岳烏帽子岩前衛壁                           1時間掛けて、テント設営

813 4:00 起床、快晴

4:45 出発→6:40 登攀開始→10:30 終了点→11:25 烏帽子岩小屋→13:35 テントサイト

 テントサイトを出て、少し谷を下った錫杖沢入り口の出合いから錫杖岳烏帽子岩前衛壁の基部を目指して沢を登行する。明瞭な踏み後があり、迷うことはない。左よりに登行すると、やがて岩壁基部に到着、更にその左端が左方カンテ取り付きとなる。

 登攀のオーダーは藤田、原田、細川の順とする。藤田、原田の2名がつるべでトップを交代しながら登る。ミドルはトップの交代と同時にラストのクライミング・ロープをフィックスする。ラストはフィックスされたロープにアッセンダー(シャント)をセットし、アッセンダーで自己確保しながら登る。これにより、ミドルは常にトップの確保に集中すればよく、トップとラストが同時に登攀できて、時間の節約になる。1ピッチ目は藤田がリード。2ピッチ目、原田のリードで登攀。チムニーから左のリッジへ出だしは易しく快調である。ルンゼを直上、抜け口も問題なし、4ピッチ目、左のフェィスは細かいホールドであるが岩はしっかりしている。上部のカンテを回り込むと巨大な一枚岩が壁にもたれるように引っ掛かっている。この一枚岩とのすき間に出来たチムニーを登る。チムニーの下部からは、遙か下の壁が見え隠れしている。出だしは手掛かりのほとんど無いスラブを約3m登りチムニーに入る。チムニーはバックアンドフットで登れるが、左の壁にもクラックが沢山あり、ホールドには苦労しない。上部はフェィスとなり、左のリッジを回り込む。回り込んだ所の垂壁の乗り越しは慎重を要する。その上は細かいホールドのフェィスで、右端を直上すればブッシュの中に入り、更に右に入る。ここから最後のピッチ、傾斜は緩くなり、ルンゼを登り上部の木立の間を抜ければ傾斜の落ちた終了点に入る。終了点から右寄りに登ると明瞭な踏み後があり、これを忠実にたどると烏帽子岩の左を巻いてその裏側の錫杖岳本峰とのコルに出る。
    
1ピッチ目                        2ピッチ目

    
4ピッチ目                        5ピッチ目チムニー


     
終了                            烏帽子岩 


終了点                             岩陰にて、休憩

烏帽子岩直下の烏帽子岩小屋で休憩、今朝、取り付き点ですれ違った女性
2名のパーティーが、下から沢を詰めているのが認められる。彼女らは錫杖沢を詰めて錫杖岳本峰に立つ予定とか、相当苦労して登っている様子だ。我々はコルから一気に笹藪のクリヤ谷斜面をテントサイトに向けて下る。テントに戻った後、時間が早いので昨日の残りのソーメンを茹で皆で突く。

展望:槍ヶ岳〜北穂高岳〜奥穂高岳〜西穂高岳〜焼岳(錫杖岳から)           焼岳〜乗鞍岳〜遠く御嶽山(笠ヶ岳から)

14
5:20出発、快晴
       6:57水場→9:55クリヤの頭→10:25雷鳥岩→14:44笠ヶ岳→15:44笠ヶ岳山荘キャンプ場着

今日は笠ヶ岳テントサイトまでの登行で時間は十分あり、ゆっくり登行する。しかし、重量はしっかり有る。登攀用具と幕営用具一式あり、肩に応える負荷である。おまけに連日の快晴で気温は上がり放しである。直射日光が後頭部に容赦なく当たり、皆あえぎあえぎ、幾らも進まないうちに休憩となる。下ってくる二人パーティの京都のお母さんが「こんなきついコースはもう二度とごめんだ」とぶつぶつ言っているのに出会す。下りでも大変なんだと感心する。最後の水場を過ぎてクリヤの頭、雷鳥岩が見えてくる。雷鳥岩まで一気に登る目標がそうは行かない。途中、何度も休憩となる。やっとの思いで雷鳥岩に着く、笠ヶ岳はまだ遙か先で、その姿も見えない。ここから笠ヶ岳の手前のピークまで更に急な登りが続いている。途中、ガスが湧いてきて、「グワー、グワー」と雷鳥の鳴き声が聞かれたが姿は見えない。登山道は次第に大きな岩屑の道となり、笠ヶ岳の本峰が見えてきた。其処までもう一踏ん張りである。ヨレヨレの体に鞭打ちやっとの事、頂上である。裏銀座隊との交信でテントサイト到着予定が2時から3時と、言ったが3時前には着けない。次第にテントサイトへの到着時間が遅くなってくる。頂上は14:44分、ここで大休止する。頂上からはSACのグレーとイエローのパッチ模様の特徴的なテントは直ぐに確認できた。小屋に向けて一気に下る。山荘でビールを仕入れ、山荘前の広場のテーブルで乾杯する。乾き切った喉に流し込む冷たいビールは最高である。至福の一時である。既に先着している裏銀座隊の横にテントを張り、再会を喜び、全員で再度乾杯する。


クリヤの頭から笠ヶ岳                            岩礁のチングルマ・タカネヤハズハハコ


笠ヶ岳頂上                                    頂上より10分下ったテント場(SAC/ブルー・イエロー&グレー

815 5:40笠ヶ岳山荘キャンプ場出発
       6:47分岐点→10:25林道出合い→11:24新穂高ロープウェー駐車場着


テン場から笠ヶ岳を望む                         笠ヶ岳から錫杖岳への尾根

 裏銀座隊は我々が辿って来た道を下る為、我々より、1時間早く出発する。これを見送る。お互い長い下りの一日が始まった。昨日は長い登りに苦労したが、今日は反対に殆どが下りの連続で有る。急勾配の下りで膝がガクガク笑いそうである。笠キャンプ場を出て直ぐに折戸岳との吊り尾根に蒲田川へ下る笠新道の分岐点があり、一旦緩い勾配を登り、折戸岳から南東側へ蒲田川側に派生している尾根に沿って下る。その急斜面の下に杓子平があり、更にその先の尾根から一気に蒲田川に向かって急勾配のジグザグ道が待ち受けている。東側の斜面であるため正面から朝日を受け、暑い暑い。しかし、好天のお陰で槍、北穂、奥穂、西穂の稜線更に中央アルプス、南アルプスの稜線が見事に眺望できる。南アルプスの左端には富士山の特徴的な姿も眺められる。しばし、見とれて疲れも飛んで行きそうである。下りばかりの道をひたすら歩く。植生が岳樺や灌木からブナの高木に変わる頃になると蒲田川の河原が明瞭になり更に堰堤工事や林道が見てくる頃になると林道は間近である。林道出合いで小休止し、更に林道出合いから約1時間で初日の出発点である「新穂高ロープウェー駐車場」に着いた。

 今回のように好天が続く山行は久しぶりである。おかげで北アルプスの大パノラマを満喫でき、お花畑も最高であった。中尾温泉の駐車場で裏銀座隊と途中槍ヶ岳経由で下った木村も既に着いており、全員が集合した。これから一路、新平湯温泉を目指し、この温泉で汗を流す事にする。帰りは高山から中部縦貫道を通り、一宮ICから名神高速道路を通って帰路に付く。下関に帰り着いたのは16日の午前4時過ぎであった。

装備
1.燃料はバーナー本体のタンクに700ccと補充用タンク1000ccを携行したが全容量1000ccで十分である。
2.クライミングロープはトップ-ミドルが10.2mm×50mをダブルで使用したが重い。
  やはりダブルロープ用の
9mmもしくは8.6mmが欲しい。ミドル-ラストは10.2mmで良い。